ボリンジャーバンドは本当に使える?
ボリンジャーバンドは移動平均線の次に人気があると言われるテクニカル指標です。
売られ過ぎ・買われ過ぎを判断するオシレーター系の指標で、「偏差値」の概念を取り入れた代物。
ご想像の通り、偏差値は学校のテストの成績で使われる概念です。
人気のテクニカル指標ですが、本当にボリンジャーバンドは有効なのでしょうか?
有効であるならば、どのくらいの期待値があるのでしょう?
そこで今回は、ボリンジャーバンド逆張り手法をプログラミングを用いて20年以上の期間で検証しました。
ものによっては、期待値がマイナス数百pipsの絶対に手を出したくない組み合わせも存在しました。
すぐにトレード活かせる内容なので、ぜひ目を通してみてください。
- 根拠のあるトレードしたい方。
- 一時的な手法ではなく長期で使えるトレードをしたい方。
- FXがギャンブルではないと理解できている方。
- すぐにトレードに活かせる実用性の高い情報が欲しい方。
- データに基づいた事実ベースの情報が欲しい方。
ボリンジャーバンド逆張りは有効です
結論から申しますと、ボリンジャーバンドの逆張りは有効です。
上記画像は、過去20年間ひたすらボリンジャーバンド逆張り手法を行い続けるようにプログラムしてテストした場合の資産推移です。
見ての通り右肩上がりの曲線です。
客観的にこの画像を見て、ボリンジャーバンド逆張りが全くの無意味と言う人は少ないでしょう。
ただし、使う時間足とパラメータによりけりで、全く優位性が無かったボリンジャーバンドの設定は多いです。
仮にあなたがどこかで見た情報を鵜呑みにし、手法に優位性が無いと知らないまま稼げると信じてトレードし続けた場合どうなるでしょうか?
この記事ではそれぞれの時間足で検証し、期待値が高かったボリンジャーバンドのパラメータも含めて公開します。
ボリンジャーバンド逆張りには優位性があります。
ボリンジャーバンド逆張りの検証方法
ボリンジャーバンドの1~3σを越えたらロングorショート(買いor売り)
エントリー後、反対側の1~3σを越えたらしたらクローズ(決済)。
それぞれの時間足、良く使用されるパラメータのボリンジャーバンドでテストを行い、計441パターンのデータを取ります。
9、10、25、26、50の期間のボリンジャーバンドそれぞれ1~3σでエントリー、反対側の1~3σで決済する組み合わせが63パターン。
これを1分足~日足で行い、計441パターンとなります。
通貨ペアはドル円、期間は2003年6月~2023年11月です。
取引コストは検証用に0.1pips(0.1銭)です。
手法そのものの力だけを見たいため利確損切りは設定しません(一応500pipsで設定)
早速やっていきましょう!
ボリンジャーバンド逆張りの優位性、検証結果
次項に出てくる棒グラフが検証結果です。
過去20年間のチャートデータをもとに、ボリンジャーバンド逆張り手法の期待値(pips)を表したグラフです。
縦軸は期待値(pips)です。勝ち負け平均して1トレード毎に何pips期待できるかを表しています。上側に棒グラフが伸びていれば期待値プラスです。
横軸は、ボリンジャーバンドの期間です。青色の縦線で区切ってありますが、横軸の数字に近い棒グラフは全て同じ期間のボリンジャーバンドでの結果です。
最後に棒グラフの色は、エントリーと決済の偏差を表しています。
「2~1」とあれば-2σを価格が下回ったら買いエントリーして1σを上回ったら決済した時の結果を表します。
※あまりにもトレード回数が少なかったものは除外しています。
1分足における各ボリンジャーバンド逆張りの期待値
こちらは20年間、1分足のボリンジャーバンドで逆張りを行い続けた結果です。
検証した期間の設定で大抵は期待値プラスですね。
おおむね棒グラフが上側に伸びています。
全体的に見て、ほぼ期待値がプラス。
逆に、50期間のパラメータのボリンジャーバンドの逆張りは3σでのエントリー以外はやめておいたほうが良いかもしれません。
ただ全体的に期待値がやや低めなのでもう少しエントリーポイントは絞ったほうがよさそうです。
ボリバン逆張り(1分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 20期間 |
偏差(エントリー) | 3σ |
偏差(決済) | 2σ |
1分足で最も期待値が高かった、ボリンジャーバンド20期間。3σでエントリー、2σで決済した場合の資産推移です。
きれいな右肩上がりです。
スキャルピングに使う時に特に力を発揮しそうです。
1分足で、最も期待値が良かったものはボリンジャーバンド20期間、3σでエントリー、2σで決済した場合です。
最も悪かったものはボリンジャーバンド50期間、3σでエントリー、3σで決済した場合。
5分足における各ボリンジャーバンド逆張りの期待値
こちらは5分足のボリンジャーバンド逆張りの結果です。
1分足に引き続き5分足でも全体的に期待値プラス。
加えて、1分足の時よりも全体的に期待値が高い傾向にあります。
しかし、3σでの決済に関しては全ての組み合わせで期待値マイナスの結果。
3σを決済ポイントとするのはやめておいた方がよさそうです。
ボリバン逆張り(5分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 21期間 |
偏差(エントリー) | 3σ |
偏差(決済) | 2σ |
5分足で最も期待値が高かった、ボリンジャーバンド21期間。3σでエントリー、2σで決済した場合の資産推移です。
安定感のある右肩狩りですね。
↓期待値ではやや劣るものの安定感がさらにあった設定も載せておきます
ボリバン逆張り(5分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 20期間 |
偏差(エントリー) | 2σ |
偏差(決済) | 2σ |
素晴らしいですね。
かなりきれいな右肩上がりです。
安定感のある方が使いやすいです。
5分足で、最も期待値が良かったものはボリンジャーバンド21期間、3σでエントリー、2σで決済した場合です。
最も悪かったものはボリンジャーバンド50期間、2σでエントリー、3σで決済した場合。
15分足における各ボリンジャーバンド逆張りの期待値
20期間以降のボリンジャーバンドはほとんど期待値マイナスです。
しかし9、10期間のボリンジャーバンドでは期待値プラス。
15分足では短期間のボリンジャーバンドが有効なようです。
ボリバン逆張り(15分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 10期間 |
偏差(エントリー) | 2σ |
偏差(決済) | 2σ |
15分足で最も期待値が高かった、ボリンジャーバンド10期間。2σでエントリー、2σで決済した場合の資産推移です。
途中から優位性を損なっていますね。
ただ条件を絞っていけばある程度優位性はありそうです。
単体では使いにくいですが可能性を感じます。
15分足で、最も期待値が良かったものはボリンジャーバンド10期間、2σでエントリー、2σで決済した場合です。
最も悪かったものはボリンジャーバンド50期間、3σでエントリー、3σで決済した場合。
30分足における各ボリンジャーバンド逆張りの期待値
こちらは30分足のボリンジャーバンド逆張りの結果です。
壊滅的ですね。
9期間、10期間の2σでエントリー、1σで決済した場合がかろうじて期待値プラス。
全体的にあまり優位性はないようです。
ボリバン逆張り(30分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 9期間 |
偏差(エントリー) | 2σ |
偏差(決済) | 1σ |
30分足で最も期待値が高かったボリンジャーバンド10期間、2σでエントリー、2σで決済した場合の資産推移です。
微妙。
15分足の劣化版のような曲線です。
これはあまり期待できまでせんね。
30分足で、最も期待値が良かったものはボリンジャーバンド9期間、2σでエントリー、2σで決済した場合です。
最も悪かったものはボリンジャーバンド50期間、1σでエントリー、3σで決済した場合。
1時間足における各ボリンジャーバンド逆張りの期待値
こちらは1時間足のボリンジャーバンド逆張りの結果です。
30分足では短期間のボリンジャーバンドではかろうじて期待値がプラスでしたが、1時間足ではほぼ優位性が見られませんね。
期待値がプラスだった20期間、21期間の3σエントリー3σ決済の組み合わせは資産推移とトレード数からみるに、たまたま期待値がプラスになっただけでおそらく優位性はあまり見られません。
ボリバン逆張り(1時間足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 21期間 |
偏差(エントリー) | 3σ |
偏差(決済) | 3σ |
1時間足で最も期待値が高かったボリンジャーバンド21期間、3σでエントリー、3σで決済した場合の資産推移です。
有効には見えませんね。
ぜんぜん可能性を感じません。
1時間足で、最も期待値が良かったものはボリンジャーバンド21期間、3σでエントリー、3σで決済した場合です。
最も悪かったものはボリンジャーバンド50期間、3σでエントリー、3σで決済した場合。
4時間足における各ボリンジャーバンド逆張りの期待値
壊滅的です。
有効とはとても思えませんね。
唯一期待値がプラスになった50期間、3σエントリー1σ決済の組み合わせがありますが、資産推移とトレード回数からみるにおそらくたまたまです。
ひどい組み合わせはマイナス80pips強。月に一般的な単位1ロット(1万通貨)で月にたった10回トレードしただけで年に96万円程度の損失を叩き出す数字です。1日1回なら200万弱の損失となります。
ボリバン逆張り(4時間足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 50期間 |
偏差(エントリー) | 3σ |
偏差(決済) | 1σ |
4時間足で最も期待値が高かったボリンジャーバンド50期間、3σでエントリー、1σで決済した場合の資産推移です。
トレード回数が少ない上にガタガタです。
おそらく期待値がプラスで終わったのもまぐれでしょう。
トレードには向きません。
使えません。
4時間足で、最も期待値が良かったものはボリンジャーバンド50期間、3σでエントリー、1σで決済した場合です。
最も悪かったものはボリンジャーバンド10期間、2σでエントリー、3σで決済した場合。
日足における各ボリンジャーバンド逆張りの期待値
4時間足同様、壊滅的。
期待値がプラスの組み合わせは一つもありませんでした。
おそらく長期足には向いていません。
マイナス500pips弱は月に一般的な単位1ロット(1万通貨)で月にたった2回トレードしただけで年に120万円弱の損失を叩き出す数字です。月3回なら180万弱、月5回なら300万円の損失となります。
お話になりません。
最も期待値がプラスだったものは無し。
最も悪かったものはボリンジャーバンド9期間、2σでエントリー、3σで決済した場合です。
ボリンジャーバンド逆張りは短期足で有効
ボリンジャーバンド逆張りの手法は短期足で有効。
検証の結果、ボリンジャーバンド逆張りは有効な戦略であることが分かりました。
ただし、長期足ではあまり優位性は見られませんでした。
短期足では安定感抜群でしたね。
ボリンジャーバンド逆張りのペア表
表にもしてみました。
期待値がプラスだったものが「〇」。
最大の期待値だったペアが「〇の赤色」のマス。
空欄のマスが期待値マイナス。
最小の期待値だったものが「×の青色」のマスです。
自分の良く使う設定と表とを見比べてみてください。
「1分足」ボリンジャーバンド逆張りの設定表
1分足 | 9 | 10 | 20 | 21 | 25 | 26 | 50 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1-1 | |||||||
1-2 | |||||||
1-3 | |||||||
2-1 | |||||||
2-2 | |||||||
2-3 | |||||||
3-1 | |||||||
3-2 | |||||||
3-3 |
「5分足」ボリンジャーバンド逆張りの設定表
5分足 | 9 | 10 | 20 | 21 | 25 | 26 | 50 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1-1 | |||||||
1-2 | |||||||
1-3 | |||||||
2-1 | |||||||
2-2 | |||||||
2-3 | |||||||
3-1 | |||||||
3-2 | |||||||
3-3 |
「15分足」ボリンジャーバンド逆張りの設定表
15分足 | 9 | 10 | 20 | 21 | 25 | 26 | 50 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1-1 | |||||||
1-2 | |||||||
1-3 | |||||||
2-1 | |||||||
2-2 | |||||||
2-3 | |||||||
3-1 | |||||||
3-2 | |||||||
3-3 |
まとめ:ボリンジャーバンド逆張りは有効な手法です。
今回のおさらいです。
ボリンジャーバンド逆張りは有効。
・1分足、5分足等の短期足で有効。
・長期足ではあまり優位性は見られない。
いかがでしたか?
ボリンジャーバンド逆張りを検証してみました。
結果、手法の優位性が確認できました。
また、特に短期足で有効であることが分かりました。
期待値が大きい組み合わせでエントリーを狙ったり、逆に期待値マイナスの組み合わせのクロスが起きていないか確認してみるとトレードの質向上につながると思います。