
RCIは本当に使える?
RCIは「Rank Correlation Index」の略で和訳すると「順位相関係数」です。
RSIと名前がとても似ていますが、別物のテクニカル指標。
一定期間における時間と価格に順位をつけ、その相関関係を-100~+100%で表します。
それぞれの値は情報としての価値が違いますよね?という少し面白い発想の指標。ユニークではありますが、ざっくり言うと他の指標と同じく指定した期間に値が上昇すれば100に、下降していれば-100に近づきます。
今回はRCIを用いた逆張りを検証していきます。
すぐにトレード活かせる内容なので、ぜひ目を通してみてください。
- 根拠のあるトレードしたい方。
- 一時的な手法ではなく長期で使えるトレードをしたい方。
- FXがギャンブルではないと理解できている方。
- すぐにトレードに活かせる実用性の高い情報が欲しい方。
- データに基づいた事実ベースの情報が欲しい方。
RCIの逆張りは有効です


結論から申しますと、RCIの逆張りは有効です。
上記画像は、過去20年間ひたすらRCIを使って逆張り手法を行い続けるようにプログラムしてテストした場合の資産推移です。
見ての通り右肩上がりの資産曲線です。
客観的にこの画像を見て、RCIの逆張りが全くの無意味と言う人は少ないでしょう。
ただし、使う時間足とパラメータによりけりで、全く優位性が無かったRCIの期間設定は多いです。
仮にあなたがどこかで見た設定等を鵜呑みにし、手法に優位性が無いと知らないまま稼げると信じてトレードし続けた場合どうなるでしょうか?
この記事ではそれぞれの時間足で検証し、期待値が高かったパラメータも含めて公開します。



RCIによる逆張りには優位性があります。
RCI逆張りの検証方法
RCIが-70~-100(70~100)を越えたらロングorショート(買いor売り)
エントリー後、反対側のRCIが70~100(-70~-100)を越えたらしたらクローズ(決済)。
それぞれの時間足、良く使用されるパラメータのRCIでテストを行い、計560パターンのデータを取ります。
9、26、52の期間のRCIでそれぞれ-70~-100(70~100)でエントリー、反対側の70~100(-70~-100)で決済する組み合わせが48パターン。
これを1分足~日足で行い、計336パターンとなります。
通貨ペアはドル円、期間は2003年6月~2023年11月です。
取引コストは検証用に0.1pips(0.1銭)です。
※優位性がマスキングされてしまうことを防ぐため、スプレッドを低めに設定しています。
手法そのものの力だけを見たいため利確損切りは設定しません。(一応500pipsで設定)



早速やっていきましょう!
RCI逆張りの優位性、検証結果
次項に出てくる棒グラフが検証結果です。
過去20年間のチャートデータをもとに、RCI逆張り手法の期待値(pips)を表したグラフです。
縦軸は期待値(pips)です。勝ち負け平均して1トレード毎に何pips期待できるかを表しています。上側に棒グラフが伸びていれば期待値プラスです。
横軸は、RCIの期間です。青色の縦線で区切ってありますが、横軸の数字に近い棒グラフは全て同じ期間のRCIでの結果です。
最後に棒グラフの色は、エントリーと決済のRCIの数値を表しています。
「-70~80」とあればRCIが-70を下回ったら買いエントリーして80を上回ったら決済した時の結果を表します。
売りの場合は70を上回ったら売りエントリー、-80を下回ったら決済です。
※あまりにもトレード回数が少なかったものは除外しています。
※見にくいため棒グラフが上下側に伸びているの時や、上側に伸びている時でもトレード数が少な過ぎる場合のグラフを切っていることがあります。
1分足における各RCI逆張りの期待値


こちらは20年間、1分足のRCIで逆張りを行い続けた結果です。
※グラフが見にくくなるため期待値が大きくマイナスだった棒グラフの下側と、期待値プラスだったが取引回数が少なすぎたグラフの上側を切ってます。
全体的に期待値プラス!
棒グラフが上側に伸びているものが多いです。
特に期間9のRCIは検証したパターン全てで期待値プラスでした。
期間26と期間52のRCIも大半が期待値プラスとなっていますが、±100まで決済を引き延ばした場合は期待値がマイナスになっています。



1分足のRCIでは期間9がよさそうですね。
1分足で最も期待値が高かったRCIの設定の資産推移


RCI逆張り(1分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 9期間 |
RCIの数値(エントリー) | -100 |
RCIの数値(決済) | 100 |
1分足で最も期待値が高かった設定です。
RCI9期間。RCIが-100以下でエントリー、100以上で決済した場合の資産推移です。
右肩上がりではありますが、まあまあガタついています。
1分足で安定感が優れていたRCI設定の資産推移


RCI逆張り(1分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 9期間 |
RCIの数値(エントリー) | -90 |
RCIの数値(決済) | 70 |
安定感が優れていたRCIの設定(1分足)
期待値では劣るものの安定感が優れていた設定も載せておきます。
かなりきれいな右肩上がりですね。
最も期待値が高かった設定よりもこちらの方が使いやすそうです。



優位性有りです。
1分足で、最も期待値が良かったものはRCI9期間、-100以下でエントリー、100以上で決済した場合です。
最も悪かったものはRCI26期間、-90以下でエントリー、100以上で決済した場合。
※売りは逆
5分足における各RCI逆張りの期待値


こちらは5分足のRCI逆張りの結果です。
※グラフが見にくくなるため期待値が大きくマイナスだった棒グラフの下側と、期待値プラスだったが取引回数が少なすぎたグラフの上側を切ってます。
1分足とは様子が少し変わって、期間の設定が短めの方が成績が良い印象です。
もっとも使われる設定である14期間より7期間設定の方が期待値がプラスの設定が多いです。



期間が長めの設定は逆に壊滅的
5分足で最も期待値が高かったRCIの設定の資産推移


RCI逆張り(5分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 26期間 |
RCIの数値(エントリー) | -90 |
RCIの数値(決済) | 70 |
5分足で最も期待値が高かった設定です。
RCI9期間。RCIが-90以下でエントリー、70以上で決済した(売りは逆)場合の資産推移です。
右肩上がりですが、直近が弱いです。
直近半分弱くらいの期間で資産が実質的にはあまり増えていません。
ただし、横這いはスプレッド分は勝っている事を意味しているといえます。



ややアップダウンも目立ちます。
5分足で、最も期待値が良かったものはRCI26期間、-90以下でエントリー、70以上で決済した場合です。
最も悪かったものははRCI期間52、-100以下でエントリー、100以上で決済した場合。
※売りは逆
15分足における各RCI逆張りの期待値


こちらは15分足のRCI逆張りの結果です。
※グラフが見にくくなるため期待値が大きくマイナスだった棒グラフの下側と、期待値プラスだったが取引回数が少なすぎたグラフの上側を切ってます。
多くの条件で期待値マイナスの傾向です。
ある程度トレード回数があって、さらに期待値がプラスだった組み合わせは数えるほどしかありません。
5分足のRCIと同様、期間設定が短めの方が優秀。



デフォルト設定の14期間の成績は全然ダメですね。
15分足で最も期待値が高かったRCIの設定の資産推移


RCI逆張り(15分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 9期間 |
RCIの数値(エントリー) | -90 |
RCIの数値(決済) | 80 |
15分足で最も期待値が高かった設定です。
RCI9期間。RCIが-90以下でエントリー、80以上で決済した(売りは逆)場合の資産推移です。
う~ん、たまたま期待値がプラスで終われただけのようです。
途中まではかなり良いんですがね。



ちなみに15分足では他の期待値プラス設定の資産推移もこんな感じで似たような波形でした。
15分足で、最も期待値が良かったものはRCI9期間、-90以下でエントリー、80以上で決済した場合です。
最も悪かったものははRCI期間52、-100以下でエントリー、100以上で決済した場合。
※売りは逆
30分足における各RCI逆張りの期待値


こちらは30分足のRCI逆張りの結果です。
※グラフが見にくくなるため期待値が大きくマイナスだった棒グラフの下側と、期待値プラスだったが取引回数が少なすぎたグラフの上側を切ってます。
期間9のRCIは期待値プラスの傾向がありますね。対して期間26と52のRCIは絶望的です。



30分足長期間のRCIでは短期間の設定の方がよさそうです。
30分足で最も期待値が高かったRCIの設定の資産推移


RCI逆張り(30分足) | パラメーター |
---|---|
期間 | 9期間 |
RCIの数値(エントリー) | -90 |
RCIの数値(決済) | 70 |
30分足で最も期待値が高かった設定です。
RCI9期間。RCIが-90以下でエントリー、70以上で決済した(売りは逆)場合の資産推移です。
やや長めの足の割には優位性を割と保っていますね。



ちなみに15分足では他の期待値プラス設定の資産推移もこんな感じで似たような波形でした。
30分足で、最も期待値が良かったものはRCI9期間、-90以下でエントリー、70以上で決済した場合です。
最も悪かったものははRCI期間52、-100以下でエントリー、70以上で決済した場合。
※売りは逆
1時間足における各RCI逆張りの期待値


こちらは1時間足のRCI逆張りの結果です。
※グラフが見にくくなるため期待値が大きくマイナスだった棒グラフの下側と、期待値プラスだったが取引回数が少なすぎたグラフの上側を切ってます。
壊滅的ですね。期待値がプラスになった組み合わせはほぼゼロです。


期待値がプラスになっている設定が1つありますが、上記のようにたまたまプラスで終われただけのように見えます。



優位性は感じません!
1時間足で、期待値がプラスになった組み合わせは無し。
最も悪かったものははRCI期間9、-70以下でエントリー、80以上で決済した場合。
※売りは逆
4時間足における各RCI逆張りの期待値


こちらは4時間足のRCI逆張りの結果です。
※グラフが見にくくなるため期待値が大きくマイナスだった棒グラフの下側と、期待値プラスだったが取引回数が少なすぎたグラフの上側を切ってます。
1時間足に続き壊滅的です。
期待値がプラスになっている組み合わせはほぼゼロです。
そして、トレード回数的にも少なすぎて、4時間足の全ての設定で有効な結果と言えませんでした。



このパラメータでトレードするくらいならギャンブルに突っ込んだ方が幾分かはましですよね。
4時間足で、期待値がプラスだったものは無し。
ただし良かった設定も悪かった設定も取引回数が少なすぎるため参考にならないかもしれません。
日足における各RCI逆張りの期待値


こちらは日足のRCI逆張りの結果です。
※グラフが見にくくなるため期待値が大きくマイナスだった棒グラフの下側と、期待値プラスだったが取引回数が少なすぎたグラフの上側を切ってます。
期待値がプラスになっている組み合わせはほぼゼロです。
そして、4時間足同様にトレード回数的にも少なすぎて、日足の全ての設定で有効な結果と言えませんでした。



特に語る事もなしです。
日足で、期待値がプラスだったものは無し。
ただし良かった設定も悪かった設定も取引回数が少なすぎるため参考にならないかもしれません。
RCI逆張りは短期足で有効
RCI逆張りの手法は1分足~30分足で有効。
検証の結果、RCI逆張りは有効な戦略であることが分かりました。
1分足~30分足で有効とありますが、15分足は微妙でした。
1分足で特に優位性が高いように感じました。



RCIは1分足でグラフの形もきれいでした。
RCI逆張りの設定表
表にもしてみました。
期待値がプラスだったものが「〇」。
最大の期待値だったペアが「赤色」のマス。
空欄のマスが期待値マイナス。
最小の期待値だったものが「青色」のマスです。
トレード数が少なくて参考にならないと思われるものが「ー」のマスです。



自分の良く使う設定と表とを見比べてみてください。
「1分足」RCI逆張りの設定表
1分足 | 9 | 26 | 52 |
---|---|---|---|
-70~70 | |||
-70~80 | |||
-70~90 | |||
-70~100 | |||
-80~70 | |||
-80~80 | |||
-80~90 | |||
-80~100 | |||
-90~70 | |||
-90~80 | |||
-90~90 | |||
-90~100 | |||
– | 100~70|||
-100~80 | |||
– | 100~90|||
– | 100~100
「5分足」RCI逆張りの設定表
5分足 | 9 | 26 | 52 |
---|---|---|---|
-70~70 | |||
-70~80 | |||
-70~90 | |||
-70~100 | |||
-80~70 | |||
-80~80 | |||
-80~90 | |||
-80~100 | |||
-90~70 | |||
-90~80 | |||
-90~90 | |||
-90~100 | |||
– | 100~70|||
-100~80 | |||
– | 100~90|||
– | 100~100
「15分足」RCI逆張りの設定表
15分足 | 9 | 26 | 52 |
---|---|---|---|
-70~70 | |||
-70~80 | |||
-70~90 | |||
-70~100 | |||
-80~70 | |||
-80~80 | |||
-80~90 | |||
-80~100 | |||
-90~70 | |||
-90~80 | |||
-90~90 | |||
-90~100 | |||
– | 100~70|||
-100~80 | |||
– | 100~90|||
– | 100~100
「30分足」RCI逆張りの設定表
30分足 | 9 | 26 | 52 |
---|---|---|---|
-70~70 | |||
-70~80 | |||
-70~90 | |||
-70~100 | |||
-80~70 | |||
-80~80 | |||
-80~90 | |||
-80~100 | |||
-90~70 | |||
-90~80 | |||
-90~90 | |||
-90~100 | |||
– | 100~70|||
-100~80 | |||
– | 100~90|||
– | 100~100
まとめ:RCI逆張りは有効な手法です。


今回のおさらいです。
RCI逆張りは有効な戦略。
・1分足~30分足等で有効。
・1時間足以降ではあまり優位性は見られない。
いかがでしたか?
RCI逆張りを検証してみました。
結果、手法の優位性が確認できました。



期待値が大きい組み合わせでエントリーを狙ったり、逆に期待値マイナスの組み合わせが起きていないか確認してみるとトレードの質向上につながると思います。