
RCIは本当に使える?
パラボリックは正確に言うとパラボリックSARで「Parabolic Stop And Reverse」の略で直訳すると「放物線、止まって反転」です。
トレンドやトレンド転換点の目安となる人気のテクニカル指標です。
上昇トレンドではロウソク足の下側に、下降トレンドでは上側に描出されます。
また、RSIやADXを開発したJ.W.ワイルダー・Jrが開発者で、代表的著書「New Concepts in Technical Trading Systems(1978)」で紹介されました。
今回はパラボリックSARを用いたドテン手法を検証していきます。
すぐにトレード活かせる内容なので、ぜひ目を通してみてください。
- 根拠のあるトレードしたい方。
- 一時的な手法ではなく長期で使えるトレードをしたい方。
- FXがギャンブルではないと理解できている方。
- すぐにトレードに活かせる実用性の高い情報が欲しい方。
- データに基づいた事実ベースの情報が欲しい方。
パラボリックドテン手法は有効です


結論から申しますと、パラボリックを用いたドテン手法は有効です。
上記画像は、過去20年間ひたすらパラボリックSARを使ってドテン手法を行い続けるようにプログラムしてテストした場合の資産推移です。
見ての通り右肩上がりの資産曲線です。
客観的にこの画像を見て、パラボリックドテン手法が全くの無意味と言う人は少ないでしょう。
ただし、使う時間足とパラメータによりけりで、全く優位性が無かったパラボリックのパラメータ設定は多いです。
仮にあなたがどこかで見た設定等を鵜呑みにし、手法に優位性が無いと知らないまま稼げると信じてトレードし続けた場合どうなるでしょうか?
この記事ではそれぞれの時間足で検証し、期待値が高かったパラメータも含めて公開します。



パラボリックSARによるドテン手法には優位性があります。
パラボリックドテン手法の検証方法
パラボリックSARが反転したらロングorショート(買いor売り)
エントリー後、反対側のパラボリックSARが再び反転したらクローズ(決済)。
それぞれの時間足、良く使用されるパラメータや個人的に設定した値のパラボリックSARでテストを行い、計168パターンのデータを取ります。
加速因数(AF)の増分0.00002~2.0でエントリー、決済する組み合わせが24パターン。
これを1分足~日足で行い、計168パターンとなります。
通貨ペアはドル円、期間は2003年6月~2023年11月です。
取引コストは検証用に0.1pips(0.1銭)です。
※優位性がマスキングされてしまうことを防ぐため、スプレッドを低めに設定しています。
手法そのものの力だけを見たいため利確損切りは設定しません。(一応500pipsで設定)



早速やっていきましょう!
パラボリックドテン手法の優位性、検証結果
次項に出てくる棒グラフが検証結果です。
過去20年間のチャートデータをもとに、パラボリックドテン手法の期待値(pips)を表したグラフです。
縦軸は期待値(pips)です。勝ち負け平均して1トレード毎に何pips期待できるかを表しています。上側に棒グラフが伸びていれば期待値プラスです。
横軸は、加速因数(AF)の増分です。背景の色で区切ってありますが、横軸の数字に近い棒グラフは全て同じ加速因数(AF)の増分の設定での結果です。
最後に棒グラフの色は、加速因数(AF)最大値を表しています。
※あまりにもトレード回数が少なかったものは除外しています。
※見にくいため棒グラフが上下側に伸びているの時や、上側に伸びている時でもトレード数が少な過ぎる場合のグラフを切っていることがあります。
1分足における各パラボリックドテン手法の期待値


こちらは20年間、1分足のパラボリックSARでドテン手法を行い続けた結果です。
加速因数(AF)の増分が「0.00002」の場合に期待値プラス!
ハッキリと結果が分かれています。
逆にそれ以外の設定0.0002~2.0までのパラボリックでは検証したパターン全てで期待値マイナスでした。
また、AFの最大値によってあまり結果が変化していません。



1分足のパラボリックSARでは因数(AF)の増分は0.00002がよさそうですね。
1分足で最も期待値が高かったパラボリックSAR設定の資産推移


パラボリックドテン手法(1分足) | パラメーター |
---|---|
加速因数(AF)の増分 | 0.00002 |
加速因数(AF)の最大値 | 0.02~2.0 |
1分足で最も期待値が高かった設定です。
加速因数(AF)の増分0.00002。加速因数(AF)の最大値0.02~2.0でエントリー、決済した場合の資産推移です。
加速因数(AF)の最大値は3パターン全てで同じ期待値でした。
このままでは使いにくいですが右肩上がりです。



優位性有りです。
1分足で、最も期待値が良かったものは加速因数(AF)の増分0.00002、加速因数(AF)の最大値0.02~2.0でエントリー、決済した場合です。
最も悪かったものは加速因数(AF)の増分0.02、加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合。
5分足における各パラボリックドテン手法の期待値


こちらは20年間、5分足のパラボリックSARでドテン手法を行い続けた結果です。
加速因数(AF)の増分が「0.0002」の場合に期待値プラス!
1分足と同様に結果がハッキリと分かれています。
加速因数(AF)の増分0.00002の設定でも期待値がプラスになっていますが、トレード数が少なかったためあまり参考にならないかもしれません。



5分足のパラボリックSARでは因数(AF)の増分は0.0002がよさそうですね。
5分足で最も期待値が高かったパラボリックSAR設定の資産推移


パラボリックドテン手法(5分足) | パラメーター |
---|---|
加速因数(AF)の増分 | 0.0002 |
加速因数(AF)の最大値 | 0.02~2.0 |
5分足で最も期待値が高かった設定です。
加速因数(AF)の増分0.0002。加速因数(AF)の最大値0.02~2.0でエントリー、決済した場合の資産推移です。
加速因数(AF)の最大値は3パターン全てで同じ期待値でした。
このままでは使いにくいですが右肩上がりです。
1分足の最も期待値が高かった設定のグラフと資産推移の波形が似ています。苦手な時期もかぶっています。



優位性有りです。
5分足で、最も期待値が良かったものは加速因数(AF)の増分0.0002、加速因数(AF)の最大値0.02~2.0でエントリー、決済した場合です。
最も悪かったものは加速因数(AF)の増分0.02、加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合。
15分足における各パラボリックドテン手法の期待値


こちらは20年間、15分足のパラボリックSARでドテン手法を行い続けた結果です。
加速因数(AF)の増分が「0.002」の場合に期待値プラス!
期待値プラスの時とマイナスの境界が1分足から5分足と順々にズレているように見えます。
加速因数(AF)の増分0.00002と0.0002の設定でも期待値がプラスになっていますが、トレード数が少なかったためあまり参考にならないかもしれません。
0.02以降は盆地のようにくぼんでいます。



15分足のパラボリックSARでは因数(AF)の増分は0.002がよさそうですね。
15分足で最も期待値が高かったパラボリックSAR設定の資産推移


パラボリックドテン手法(15分足) | パラメーター |
---|---|
加速因数(AF)の増分 | 0.002 |
加速因数(AF)の最大値 | 0.02 |
15分足で最も期待値が高かった設定です。
加速因数(AF)の増分0.002。加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合の資産推移です。
直近は波が大きいですが右肩上がりです。
それぞれデフォルト設定の10分の1倍した値ですね。



優位性有りです。
15分足で、最も期待値が良かったものは加速因数(AF)の増分0.002、加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合です。
最も悪かったものは加速因数(AF)の増分2.0、加速因数(AF)の最大値0.02~2.0でエントリー、決済した場合。
30分足における各パラボリックドテン手法の期待値


こちらは20年間、30分足のパラボリックSARでドテン手法を行い続けた結果です。
加速因数(AF)の増分が「0.002」、「0.02」の場合に期待値プラス!
やはり、期待値プラスの時とマイナスの境界が1分足から5分足、15分足と順々にズレてきているように見えます。
設定をいじくっているだけで本質は同じトレンドを捉えているのかもしれません。
0.06以降の設定では盆地のようにくぼんでいます。
加速因数(AF)の増分0.00002と0.0002の設定でも期待値がプラスになっていますが、トレード数が少なかったためあまり参考にならないかもしれません。



30分足のパラボリックSARでは因数(AF)の増分は0.002、0.02の一部がよさそうですね。
30分足で最も期待値が高かったパラボリックSAR設定の資産推移


パラボリックドテン手法(30分足) | パラメーター |
---|---|
加速因数(AF)の増分 | 0.02 |
加速因数(AF)の最大値 | 0.02 |
30分足で最も期待値が高かった設定です。
加速因数(AF)の増分0.02。加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合の資産推移です。
加速因数(AF)の増分が「0.002」の設定は思ったよりガタついてました。0.02の設定の方がきれい且つ期待値も高いです。
15分足で最も期待値が高かった設定の資産推移のグラフがより安定感が増したような波形です。



優位性有りです。
30分足で、最も期待値が良かったものは加速因数(AF)の増分0.02、加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合です。
最も悪かったものは加速因数(AF)の増分0.06、加速因数(AF)の最大値0.2でエントリー、決済した場合。
1時間足における各パラボリックドテン手法の期待値


こちらは20年間、1時間足のパラボリックSARでドテン手法を行い続けた結果です。
加速因数(AF)の増分が「0.02」「0.06」の場合に期待値プラス!
加速因数(AF)の増分0.00002と0.0002、0.002の設定でも期待値がプラスになっていますが、トレード数が少なかったためあまり参考にならないかもしれません。
ただ、トレード数が少ない組み合わせでも期待値が今のところプラスになっているので全く参考にならないとはならないかも。



期待値プラスの境とトレード数が少ない組み合わせがだんだんと移動してきていますね。
1時間足で最も期待値が高かったパラボリックSAR設定の資産推移


パラボリックドテン手法(1時間足) | パラメーター |
---|---|
加速因数(AF)の増分 | 0.02 |
加速因数(AF)の最大値 | 0.02 |
1時間足で最も期待値が高かった設定です。
加速因数(AF)の増分0.02。加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合の資産推移です。
ガタついていますが優位性は見えますね。


加速因数(AF)の増分が「0.06」の場合もがたついてますが載せておきます。



優位性有りです。
1時間足で、最も期待値が良かったものは加速因数(AF)の増分0.02、加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合です。
最も悪かったものは加速因数(AF)の増分2.0、加速因数(AF)の最大値0.02~2.0でエントリー、決済した場合。
4時間足における各パラボリックドテン手法の期待値


こちらは20年間、4時間足のパラボリックSARでドテン手法を行い続けた結果です。
全体的に期待値プラス!
ついに全体にいきわたりました。
おおむね加速因数(AF)の増分0.02から左がトレード数が少ないです。



4時間足でここまで期待値プラスが多くなるテクニカル指標はあまりないような気がします。
4時間足で最も期待値が高かったパラボリックSAR設定の資産推移


パラボリックドテン手法(4時間足) | パラメーター |
---|---|
加速因数(AF)の増分 | 0.1 |
加速因数(AF)の最大値 | 0.02 |
4時間足で最も期待値が高かった設定です。
加速因数(AF)の増分0.1。加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合の資産推移です。
4時間足にしてはだいぶきれいな右肩上がりの曲線だと思います。



優位性有りです。
4時間足で、最も期待値が良かったものは加速因数(AF)の増分0.、加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合です。
最も悪かったものは加速因数(AF)の増分0.02、加速因数(AF)の最大値0.02でエントリー、決済した場合。
日足における各パラボリックドテン手法の期待値


こちらは20年間、日足のパラボリックSARでドテン手法を行い続けた結果です。
全体的に期待値マイナス!
4時間足まではあんなに調子が良かったのにどうしたんだい?と問いかけたくなる結果に。
そして、全ての組み合わせでトレード回数的にも少なすぎて、日足の全ての設定で有効な結果と心からは言えません。


ちなみにデフォルト設定の資産推移はこうです。



どうして……
日足で、期待値がプラスだったものは無し。
ただし良かった設定も悪かった設定も取引回数が少なすぎるため参考にならないかもしれません。
パラボリックドテン手法は日足以外で有効
パラボリックSARのドテン手法は1分足~4時間足で有効。
検証の結果、パラボリックドテン手法は有効な戦略であることが分かりました。
1分足~4時間足で有効とかなり広範囲の時間軸で使える手法でした。



日足は何とも言えません。
パラボリックドテン手法の設定表
表にもしてみました。
期待値がプラスだったものが「〇」。
最大の期待値だったペアが「赤色」のマス。
空欄のマスが期待値マイナス。
最小の期待値だったものが「青色」のマスです。
トレード数が少なくて参考にならないと思われるものが「ー」のマスです。



自分の良く使う設定と表とを見比べてみてください。
「1分足」パラボリックドテン手法の設定表
縦軸:加速因数(AF)の増分
横軸:加速因数(AF)の最大値
1分足 | 0.02 | 0.2 | 2.0 |
---|---|---|---|
0.00002 | |||
0.0002 | |||
0.002 | |||
0.02 | |||
0.06 | |||
0.1 | |||
0.2 | |||
2.0 |
「5分足」パラボリックドテン手法の設定表
縦軸:加速因数(AF)の増分
横軸:加速因数(AF)の最大値
5分足 | 0.02 | 0.2 | 2.0 |
---|---|---|---|
0.00002 | |||
0.0002 | |||
0.002 | |||
0.02 | |||
0.06 | |||
0.1 | |||
0.2 | |||
2.0 |
「15分足」パラボリックドテン手法の設定表
縦軸:加速因数(AF)の増分
横軸:加速因数(AF)の最大値
15分足 | 0.02 | 0.2 | 2.0 |
---|---|---|---|
0.00002 | |||
0.0002 | |||
0.002 | |||
0.02 | |||
0.06 | |||
0.1 | |||
0.2 | |||
2.0 |
「30分足」パラボリックドテン手法の設定表
縦軸:加速因数(AF)の増分
横軸:加速因数(AF)の最大値
30分足 | 0.02 | 0.2 | 2.0 |
---|---|---|---|
0.00002 | |||
0.0002 | |||
0.002 | |||
0.02 | |||
0.06 | |||
0.1 | |||
0.2 | |||
2.0 |
「1時間足」パラボリックドテン手法の設定表
縦軸:加速因数(AF)の増分
横軸:加速因数(AF)の最大値
1時間足 | 0.02 | 0.2 | 2.0 |
---|---|---|---|
0.00002 | |||
0.0002 | |||
0.002 | |||
0.02 | |||
0.06 | |||
0.1 | |||
0.2 | |||
2.0 |
「4時間足」パラボリックドテン手法の設定表
縦軸:加速因数(AF)の増分
横軸:加速因数(AF)の最大値
4時間足 | 0.02 | 0.2 | 2.0 |
---|---|---|---|
0.00002 | |||
0.0002 | |||
0.002 | |||
0.02 | |||
0.06 | |||
0.1 | |||
0.2 | |||
2.0 |
まとめ:パラボリックドテン手法は有効な戦略です。


今回のおさらいです。
パラボリックドテン手法は有効な戦略。
・1分足~4時間足で有効。
・日足ではあまり優位性は見られない。
いかがでしたか?
パラボリックドテン手法を検証してみました。
結果、手法の優位性が確認できました。



期待値が大きい組み合わせでエントリーを狙ったり、逆に期待値マイナスの組み合わせが起きていないか確認してみるとトレードの質向上につながると思います。